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代表より2022年のご挨拶

2022年 年頭所感

新しい年を迎えられたことにお慶びを申し上げます。今年の干支は壬寅(みずのえとら)の年です。「壬(じん)」は陽気を下に孕むとの意があり、「寅(いん)」は、春に草木が生ずる状態を表すそうです。干支は地上の世界の暦であり、60年周期で繰り返していますが、これに、天球に関する二十八宿を組み合わせることで420年周期の暦になります。2022年は、参宿(しんしゅく、オリオン座の三ツ星)の年にあたり、本質的な実力を養いながら積極的に進めば、華々しい成果が期待できる年であるとのことです。自然、そして人の営みは、様々な要素が影響しあい、様々な周期で繰り返す循環、波動として捉えられるとする考え方は間違いではないと感じています。新年を迎えるときには、今年はどのような年(位相)であるかと考えながら進みたいと思っています。

地球環境も活動期と静穏期を繰り返していると考えています。20世紀は地殻と大気の活動の静穏期にあたっており、これと相まって、約60年前に開始された高度成長政策にも後押しされて、東京を始め世界各地に高密度な都市が出現しました。現在、我が国ではほぼ収束した新型コロナウイルスは、欧米で変位種による再拡大が続いており、1月から2月にかけて日本の感染も大きな波になると予測されています。過密な一極集中はウイルスの蔓延に好都合なだけでなく、地震や風水害に対しても極めて脆弱です。21世紀に入り、大気、地殻、ウイルスの活動が活発化する循環に転じ、統計的に得られた想定を大幅に超える集中豪雨、大地震、感染症に毎年のように襲われる中で、街と国の形を経済中心から、生活中心へと変えようとする力が生まれ、、益々強くなっていると感じています。

不安定で脆弱な集中構造から、強靭で安定した分散構造へ、東京を、そして、我が国を自ら変えていくことが求められていると感じています。さもなくば、自然の力で、分散を強いられかねません。私達は、20世紀末から今世紀にかけて、建物やインフラ施設に関わる新技術を開発しました。その内の一つであるSRF工法は、コンクリートや鉄より柔らかいポリエステル繊維とウレタン系接着剤で、コンクリートの表面を覆うことで、大きな変形を受けても弾性的に復元する柱、梁、壁などを造る方法です。施工性、コストが評価され、新幹線高架橋脚から、ビルの柱、壁、さらに木造の補強にも使われています。

鉄筋コンクリートは鉄筋の外側に数センチに厚さのかぶりと呼ばれる層がありますが、地震で繰り返し揺すられるとかぶりには鉄筋が入っていないので落ちてしまって壊れてしまいます。SRFは、軽くてしなやかな材料で被覆することでこれを解消する方法です。鉄骨に耐火被覆が義務付けられていると同様に、鉄筋コンクリートには耐震被覆が必要であると考えています。応急的な対策としては主要なコンクリートの柱にはSRFです。

東日本大震災、熊本地震などの激震地区で、SRF工法で補強した建物は揺れが少なく被害がほとんどなく地震後すぐに使えたという反響を多数いただきました。補強したら、バスが通るときの震動もほとんどなくなったという感想もありました。SRFは柔らかい材料であり、建物の変形を抑える効果は小さいと考えられるのになぜ揺れが小さく被害がないのか。常時微動により、補強前後の揺れ方の違いを詳しく調べ、振動解析の基本的な方法を振り返って研究する中で、自然な変形を許す方が、地面に括り付けて固めたり、装置を入れて振動を抑えようとするよりも、揺れが小さくなることを見出しました。揺れる地上から建物を見上げるだけではなく、天空から地面と建物の両方を見ることで、揺れと被害を生じにくい構造を造る方法を見出すことができたように感じています。

軽くてしなやかな材料を、成型が容易な木材やコンクリートと組み合わせて用いることで、地面が激しく動いても、自然に変形して元に戻り、揺れが少なく地震後も使い続けられる建物施設を造ることができるということに気が付いて、これを、収震構造:Seismic Restoring Structureと名付けました。ゴム、油、鉛といった粘性、塑性材料を内蔵する装置に変形を集中させようとする免震・制震構造、あるいは、鉄の強度(塑性)で地震力に抵抗しようとする従来の耐震構造とは違うものです。自然な変形を許す構造、地震力を受けにくい構造、分散する構造、軽くてしなやかな構造です。伝統木造に通じると考えております。木材を加工成型してビルにも使える柱、梁や床を造る技術が開発改良されていますが、これと鉄ではなく、SRFを組み合わせることで、安全性と使用継続性を高めることができると考えています。

年々厳しさを増す台風、豪雨、地震、新型ウイルスの中で生き抜くために、新しい木造、新しいコンクリート構造、新しい耐震(収震)にチャレンジしていきたいと願っています。本年も、何卒宜しくお願いします。

収震:地震の揺れを自然な変形によって収める

地震が起こると、地面はその位置と向きを大きく変えます。従って、地面の上に建っている建物、インフラ施設など(構造物)は、揺れを小さくするためには、図に青い線で示したように大きく変形する必要があります。しかし、従来は、揺れや被害は構造物の変形によって生ずると信じられていました。そこで、柱を太くし、耐震壁を入れたり、免震・制震装置を用いて変形を小さくするような耐震基準が作られました。ところが、図に赤い線で示すように、地震を受けたときにほとんど変形できないと、地面と同じように大きく激しく揺れてしまい、中にいる人や設備の損傷は避けられません。さらに、地面と一緒に動こうとするので、大きな力(地震力)を受けて弱いところから壊れてしまいます。東日本大震災、熊本地震などで、写真のように耐震基準を満たした建物や耐震補強済みの建物の内部が惨憺たる状況になり、あちこちに大きな亀裂が入ったことが多数報告されています。壁や装置で変形を抑えようとすると、大地震では大きな揺れと力を生じてしまい、被害が生ずることは、図のように空から地面と構造物の両方を見れば一目瞭然ですが、従来は、動く地面の上から構造物を見て設計していたので気付かなかったようです。

物には、力が加わっても元の位置に留まろうとする慣性と呼ばれる性質があります。また、自然な形に変形して、力が抜ければ元の形に戻る弾性という性質もあります。これらによって地面も構造物も元の位置の周りで、常に振動しています。地震によって、地面がもとの位置から大きく激しく動いても、図の太い線で示したように構造物が自然な振動を続けられれば、それほど揺れずにすみます。これは、しなやかな材料でコンクリートの柱や壁、木造の接合部を補強すること(SRF工法)で実現できることが、理論・実験と実測で確認され、近年の地震で実証されています。地面から来た地震のエネルギーは構造物を壊すような力に変わることはなく、反射して地面に返っていきます。地震が終われば、揺れは自然に収まります。これを収震と呼んでいます。変形を抑えようとする耐震、免震・制震とは違い、自然な変形で揺れを収める新しい方法です。さらに、SRF工法は万一地面が想定を超えるような動きをした場合でも柱が床を支持し続けて倒壊の危険性を減らすフェイルセーフ効果もあることが実験で確認され地震で実証されています。

各種ダウンロード

SRFに関するパンフレットやチラシ、診断に関するパンフレット、施工実績表等をダウンロードいただけます。